【孫氏の兵法詳解】第一章 計篇(けいへん)兵は国の大事なり

孫氏の兵法

目次

兵とは国の大事なり

孫子曰、兵者國之大事。死生之地、存亡之道、不可不察也。

Web漢文大系「孫氏」
https://kanbun.info/shibu02/sonshi01.html#section01

有名な一説ですが、現代和訳するとこうなります。

孫氏曰く、国の争いは非常に大事だ。国民の生死、国の存亡にかかわることは、慎重に検討しなければならない。

この場合の「兵」は戦争、争いそのものを指します。
「死生之地」は民の生死、「存亡之道」は存亡の岐路、「不可不察也」は、慎重に検討しなければならないという意味です。

現代におきかえると、市場競争に近いかな?
企業の存続に関しても、どの市場のシェアを取るか?を慎重に検討する必要があるよね。

 

・・・実は、これには続きがあります。

 

え?知らなかった・・・。

故經之以五事、校之以計、而索其情。

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これは、

争いについて検討する際は、5つの項目(後述)について調査、比較するべきだ。

と書いてあります。

続いて、

一曰道、二曰天、三曰地、四曰將、五曰法。

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という記述があります。

この5つの「道」「天」「地」「将」「法」について、順番に解説していきます。

争いごとに必要な5つの比較項目

その1「道」

まず、最初の「道」ですが、

道者令民與上同意也。
故可以與之死、可以與之生、而不畏危。

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とあります。これは、

人民と君主を一心同体にさせること。
そうすれば、人民と君主は生死をともにすることができ、危険を恐れなくなる。

という意味です。

現代だと、社長と社員の気持ちを1つにするってことだね。

つまり、争う際には、まず相手が組織として一丸となっているか?という視点が大事だと孫氏は説いています。

その2「天」

次に、「天」です。

天者陰陽寒暑時制也。

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原文を訳すと、

天とは、天候(お日様の状態、寒暖、季節)のこと。

という意味です。

現代だと、景気や!

つまり、景気等天候の様に左右されやすい要素も視野に入れるべきってことですね。

その3「地」

次に、「地」ですが、

地者遠近險易廣狹死生也。

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とあります。これは、

  • 遠近:戦場が近いか?遠いか?
  • 険易:地形が険しいか?平らか?
  • 広狭:土地が広いところか?狭いところか?
  • 死生:地形が自由に動けるところか?動けないところか?

という様に解釈できます。

地形は、現代だとあんまり関係なさそうな・・・

現代においては、

  • 遠近:すぐに競合と提供可能なサービスか?それとも時間がかかるサービスか?
  • 険易:サービスを提供するのに非常に難易度が高いか?そうでないか?
  • 広狭:客層が多いか?少ないか?
  • 死生:サービスを自由に提供できる業種か?そうでないか?※医療系等では法律が障壁となっていることが多い。

といった解釈もできると思います。

その4「将」

続いて、「将」です。

將者智信仁勇嚴也。

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これは、リーダーに関する比較になります。

将とは、しんじんゆうげんなり。

という意味で、ご存じの方も多いと思います。

  • 智:将軍の知恵、智謀
  • 信:信頼、信義。
  • 仁:仁愛。
  • 勇:勇気。
  • 厳:威厳。

将に求められる要素は、現代もあまり変わらないね。

現代においても、経営者の知恵や信頼、リスクを背負って決断する勇気、部下や取引先に卑下しない威厳は必要なケースが多いと思います。

今の世の中でも、そのまま比較対象になってもおかしくない要素です。

その5「法」

最後に、「法」です。

法者曲制官道主用也。

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この場合の法とは、軍隊の運用に関する法をさしています。これは、

  • 曲制:軍隊の編成(部隊の兵数、規模)等について詳しく定められた法。
  • 官道:軍を監察する官吏の地位や職務を定めた法。
  • 主用:将軍が君主から預かった軍の指揮権に関する法

とあります。

????

これは、現代における会社のコンプライアンスに近いと思います。

つまり、

  • 曲制:就業規則に相当。社員が会社で楽しく働けるような仕組みになっているか?
  • 官道:社員の地位や職務を定めたもの。就業規則や職務規定に近い。
  • 主用:管理職が経営者から託された会社の管理に関するコンプライアンス。

という風に読み替えることもできます。

競合他社と争うためには、5つのポイントを比較して、より緻密な戦略の立案を!

孫子の兵法の基本は、

彼を知り己を知れば百戦殆からず

の一言で言い表せるといっても過言ではありません。

競合他社と切磋琢磨する意味でも、5つのポイントを中心にしたより細かい分析と対策が生死を分かつかもしれません。